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Matador / Grant Green ( マタドール / グラント・グリーン )

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Information
personnelinst.
Grant Greenguitar
McCoy Tynerpiano
Bob Cranshawbass
Elvin Jonesdrums

notitlecomposerlength
1MatadorGrant Green10'52"
2My Favorite ThingsHammerstein II,Rodgers10'24"
3Green JeansGreen9'10"
4BedouinPearson11'41"
5Wives and LoversBacharach, David9'02"

Recorded:1965/5/20


コの1曲

 My Favorite Things


コんな曲調


 ドライブ感溢れるジャズワルツ


ココが聴きどころ


 0’26"~1'26"、8'40"~10'23" 前テーマ 後テーマ

  『My Favorite Things』は、ミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』の曲として世界的に有名であり、日本ではJR東海のCM曲としてお馴染みの曲である。
 グラント・グリーンの本曲へのアプローチを見ると、ほぼメロディを崩さず譜面通りに音を奏でているところにかえって驚かされる。モダン・ジャズでは、ほとんどの場合テーマ(前テーマ後テーマとも)は、メロディをフェイクしたりして崩して奏され、それによって演奏者のセンスが反映されるものだが、本曲の場合は元のメロディに忠実に演奏されている。よほど、原曲のメロディを大切にしたかったのだろう。
 しかし不思議なもので、これがグリーンの奏でるギターであることはサウンドから伝わってくる。それは、グルーブ感やギターの音色の中にグリーンの個性が滲み出ているためであろう。


 アドリブソロ全体におけるグリーンの存在感

 本曲全体を包む重厚且つウネるようなバンドサウンドは、マッコイ・タイナー(p)とエルヴィン・ジョーンズ(d)という鉄壁のリズム隊員によって支えられている。そんな“音の圧力”の中にあって、グリーンの存在は決して埋もれることはない。
 力強い音圧に流されることはなく、むしろバンドサウンドを自らの手で前へ前へと引っ張っていっているようにすら聴こえる。その秘密は、地に足ついたリズム感にあるはずだ。
 グリーンの奏でる音は“後乗り”でありながら、最もスピード感が出るタイミングに対してパーフェクトに当たっているのだ。グリーンは、バンドの音圧の中にフルホロウギター独特のアコースティックなニュアンスを表現するほどに強めにピッキングしている。そのため、他ギタリストよりも“ノリ”と“スピード感”が浮き彫りになっている。 それでいて、曲想にぴったりハマる、物悲しい音使いで原曲の雰囲気を発展させている。 
 よく、黒人的でグルーヴィかつブルージーな感覚を“ロイク”などと言ったりするが(勿論音楽的な意味におけるもの)、ことグリーンのソロの世界観においては、リズム感、音使い、ダイナミクス、どれを取ってもロイク・フィーリングのお手本的素材と言える。

 3'41"~4'02"、 4'43"~5'12" シーケンスフレーズ部


 シーケンスフレーズはグラントグリーンの代名詞とも言える。 
 この箇所では、トータル5パターンのシーケンスフレーズが使用されているが、特筆すべきは5パターンどのシーケンスフレーズをとっても、音は2個から4個程度しか使われておらず、ごくシンプルな組み合わせだけでフレーズが成り立っていることだ。技巧的にはたったそれだけで、マッコイ・タイナーやエルヴィン・ジョーンズのいるリズム隊を牽引している。
 そんな芸当ができるのも、推測ではあるが、奏でているフレーズは音使い的には同じであっても、それを奏でている瞬間のグリーンの“気持ち”が毎回異なるコード進行を向いているためではないかと、筆者は考えている。
 この感覚は読者の方々に共有してもらえるか判らないが、グリーンの奏するシーケンスフレーズは1回1回が違って聴こえる。その中で起承転結ができているような気がする。おそらく、共演者もそういったフィーリングが理解できるので、結果、ドラマ性のある音楽が生成されるのではないかと、筆者は考える。


ココが巧い  

 執拗なまでのシングルトーンへの拘り


 10'23"の曲中、すべてにおいてシングルトーンのみで、コードは一度も使っていない。
 周知のごとく、ギターには6本の弦がある。最大で6つの音を同時に鳴らすことが可能な楽器であるにも関わらず、この曲においては、聴いている者に「2つ以上の音を同時に出すことができないギターを使用しているのではないか」と思わせるほどに、テーマ、アドリブソロにおいて一貫してシングルトーンに終始している。
 このレベルまでくるともはや技巧的な巧さではなく、一音一音への、自らの存在を賭した魂を感じさせられる。
 必要最小限の音数だけで音楽を完成させ、それを聴く者の心を長年に渡り熱くさせ続けているグラント・グリーンは、不世出のギタリストと言ってよいだろう。


マイナスワン (テーマ部)
♩ = 200  Key in Em  4 Chor.  4'02"
  (IEにて再生可能)

マイナスワン (アドリブソロ部)
♩ = 200  Key in Em  16-bars × 20 Chor.  4'53"
  (IEにて再生可能)


ココからは余談。。。

 グラント先輩


 筆者の先輩のギター弾きにグラント・グリーンにやたらと詳しい人がいた。
 この人は、グリーンのリーダー作、参加作品はすべて所持しており、当然グリーンに関する知識は深く、ギターのプレースタイルもグリーンによく似ていた。また、性格も熱血漢で、酒の席でジャズやギターの話になると止まることなく何時間でも語り続けるアツい御仁であった。なにより彼のギタープレイはグリーン的ブルースフィーリングに加え技巧的にも秀でていた。彼の実直な人間性も含めて、筆者はその先輩、グラント先輩のことをリスペクトしていた。
 居酒屋『魚民』での飲み会でのことである。
 既に日付が変わり、午前4時過ぎ、周りを見渡すと筆者とグラント先輩以外は酔いつぶれ、二人っきりとなっていた。2人ともかなり酒が回っていたが、こんな会話をしたことを覚えている。

グラント先輩(26):「…お゛ぁー(#゚Д゚) !じゃあ、おまえはどういうギタープレイヤーになりたいんだ?お゛ぁー(#゚Д゚) !」
筆者(20):「ファンクフィーリングをもったプレイヤーになりたいっす…」
グラント先輩(26):「…お゛ぁー!だったら、なんでグラント・グリーンを聴かないんだ(#゚Д゚) ?ファンキーといえばグラント・グリーンハービー・ハンコックだろうが。あとは、ワウ・ワウ・ワトソンレイ・パーカー・ジュニアジョージ・ベンソンなんかも…(以下略)」

 当時の筆者は、グラント・グリーンには大して興味はなかった。だが、この1件をきっかけにグリーンを聴くようになり、CD屋に赴いてはグリーンの作品をちょっとずつ買い集めるようになった。
 そして、本作のようなマスターピースと出会うことができたのだ。
  『音楽との出会い』という言葉はよく耳にするが、その源泉と辿ると『人との出会い』であることがわかる。
 
 ちなみに、グラント先輩は現在は某会社の総務部に勤めているそうだ。
 “ロイク”のようにアツいキャラは、今でも健在であると信じたい。


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2014/05/29(木) | Grant Green | トラックバック(0) | コメント(-)

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