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Kessel Plays Standards / Barney Kessel (ケッセル・プレイズ・スタンダーズ / バーニー・ケッセル )

toShop

Information
personnelinst.
Barney Kesselguitar
Bob Coopertenor sax,oboe
Hampton Hawespiano
Claude Williamsonpiano
Monty Budwigbass
Red Mitchellbass
Shelly Mannedrums
Chuck Thompsondrums

notitlecomposerlength
1Speak LowNash , Weill2'42"
2Love Is Here to StayGeorge Gershwin , Ira Gershwin3'24"
3On a Slow Boat to ChinaFrank Loesser3'14"
4How Long Has This Been Going On?George Gershwin , Ira Gershwin3'16"
5My Old FlameCoslow , Johnston3'34"
6Jeepers CreepersMercer , Warren3'48"
7Barney's BluesBarney Kessel2'57"
8Prelude to a KissEllington , Gordon , Mills3'10"
9A Foggy DayGeorge Gershwin , Ira Gershwin3'07"
10You Stepped Out of a DreamHerb Brown , Kahn2'48"
11I Didn't Know What Time It WasHart , Rodgers3'54"
1264 Bars on WilshireKessel3'16"

Recorded:1954/7/1,4  1955/9/12


コの1曲

 My Old Flame
  Personnel:
   Barney Kessel (g)
   Red Mitchell (b)


コんな曲調

 哀愁漂うバラード


ココが聴きどころ


 1'50"~2'29"   2声のコード奏法箇所

 バーニー・ケッセルと言えば技巧派のイメージがあるが、ベースとのデュオで編成されるこのスローテンポのアレンジではケッセル流の“歌うような”コード奏法を十分堪能することができる。見せ場は2声のハモリが40秒間も続けられる1'50"~の部分であろう。
 2声のハモリフレーズをケッセルのように効果的に使用しているジャズギタープレイヤーは実はあまり存在せず、盲点的なアプローチとも言える。2声のハモリは、サウンド的にはギター独特の2つの音が重なったときのコード感とシングルトーンで弾いた際の芯のあるニュアンスの両方の美味しいところを活かすことができ、2色パンのようにおトクな奏法である。
 この曲のケッセルのように延々と2声ハモリフレーズで16分音符を刻み続けるのは困難だが、装飾的に2小節程度用いるだけでもソロが大変盛り上がるので、ジャズギター学習者としては是非ボキャブラリのひとつにしておきたい。


 2'42"~3'04"  ルバートからインテンポへの変化

 ルバートからインテンポへとも戻り、ベースとのデュオ演奏が再開する箇所である。地味ではあるが、ベースとの同期もピシャリと決まっており、聴いている側とすると思わず「オゥイェ」と言ってしまいたくなる瞬間だ。
 コードソロを活かしたジャズギタープレイヤーと言えば、ジョー・パスが第一人者でかもしれないが、ジョー・パスの演奏の場合は発想的にも技巧的にも難解で、あのようなアプローチは無伴奏ソロギターには向いているかもしれないが、本曲のように共演者のいるバンド演奏ではケッセル流の方が“栄える”ように思える。その秘密は、元来のコード進行に忠実な奇を衒わない音選びにある。その結果、共演者にも判り易い形で意図が伝わり、息の合ったバンドサウンドへと結実している。
 ジョー・パスを“フォーマットを問わず芸術を体現する孤高の達人”というならば、バーニー・ケッセルは“気の利いた音を共演者へ提供する音楽職人”と形容することができよう。


ココが巧い  

 芸術的な2声のハモリの連続技


 上記でも触れたが、2声のハモリフレーズを使用している箇所は聴き逃してはならない箇所である。ハモリを維持したまま16分音符を奏する場面があるが(2'13"辺り)、こういった奏法は地味に技巧的である。
 ギターの弦は4度もしくは3度の間隔で設定されているため、例えば人差し指で1、2弦をセーハ(バレー)をすればそれだけで5度のハモリは完成するが、ハモリをフレーズ化するには、コーダル(インサイド)なサウンドを維持するためスケール上を辿ることになる。
 別々のフレットを人差し指と中指、あるいは中指と薬指といった組み合わせで押さえなければならなく、尚且つ左右への横移動の機会も多くなっていく。そのまま、スイング感を保ちながら8分音符を刻むとなるとゴーストノートを出してしまったり、変な和音になってしまったりするものだが、ケッセルは卒なく、見事にハモリフレーズを継続しきっている。



 
左手を駆使したレガート感


 1音1音をピックでピッキングするのではなく、ハンマリングオン、プリングオフ、スライドを駆使するアプローチは、ケッセルの特徴とも言える。バラード曲に限らず、例えばアップテンポの曲であってもどことなく“柔らかい”雰囲気がギターサウンドから感じられるのはこの為だろう。「ピッキングした際のアタック感がなければ存在感が薄まっていまい、ホーンライクではない」といった意見もあるが、見方を変えれば、波に乗るようなスムーズな“レガート感”が実現できているとも言える。
 ここの現象から学ぶことができるのは、『右手によるピッキングに拘らなくともジャズギターを奏することは可能である』ということだ。確かに、ジョー・パスやパット・マルティーノのように1音1音を正確にピッキングしきる方が、1音1音がはっきり聴こえ、“音の粒が揃っている”感じを表現することができ、また自らのピッキングの技巧もアピールすることができるかもしれない。しかし、世の中上記2人のような器用な人間ばかりではない。
 ジャズギターを学習する上で、オルタネイトピッキングやエコノミーピッキング等のテクニックで壁にぶつかった場合は、早い段階でケッセル流に切り替えることを筆者は推奨する。ピッキングに頼らずとも、レガート感を追求すればジャズはできる。60年前に録音された本作がそれを証明している。



マイナスワン
♩ = 90  Key in G  8 Chor.  11'34"
  (IEにて再生可能)


ココからは余談。。。

 ケッセル独特の“困った顔”


 ケッセルの動画を見ていただければ一目瞭然だが、ケッセルはいつも“困った顔”をしている。
 
 見たくないものを見てしまったかのようにイイ感じで目を細め、イイ感じで困っている。
 本当に困っているのか、あるいは困っていないのか、困っているとしたら何に困っているのか、財布や傘を忘れてしまったことに困っているのか、足の裏やデリケートゾーンがかゆいことに困っているのか、全く不明であるが、ソロが盛り上がるにつれ顔の困り度も増してゆく姿は見ていて非常に惹き込まれるものがある。


 女バーニーケッセル


 筆者がかつて所属していたモダン・ジャズ研究会には合宿なるイベントが夏にあった。ここでは、基本的にはセッションやバンド演奏を集中的に行うのだが、夜になれば当然のことながら酒盛りが開幕する。
 合宿中の出来事である。
 旅の開放感と酒の勢いも相俟ってか、男子の中には衣服を脱ぎ始める者や脱がせ始める者が出始め、さらにはそれを写真に収め茶化し始める者も出てきた。新入部員の中には女子もいたので、組織の責任者であった筆者としては場を諌めなければならなかったが、年に1度の機会でもあったので「まぁ脱ぐくらいならいいだろう」と静観を決め込んでいた。
 合宿も終了し数日たった頃、合宿にカメラを持ち込んでいた女子部員からこんな相談を受けた。
 

女子部員Z(19):「合宿中に撮った写真現像しようと思うのですが、普通のカメラ屋さんで受け付けてくれますかね~?現像できないようなヤバイのもあるような気が(( ;゚Д゚))…どうしましょう?」


そこで筆者は、


筆者(22):「セブ○・イレブ○なら、たぶんやってくれるよ(`・ω・´) b」


という助言を返した。
 今にして思えばこの助言がまずかった。
 翌週の定期セッション日、現像済写真を持参して現れた彼女はどういうわけか、見たくないものを見てしまったかのような参った様子だった。その顔はソロが盛り上がっている最中のバーニー・ケッセルを彷彿させた。
 持ち込まれた写真は筆者が確認するよりも先に部員たちに回されていったのだが、それを見た男子部員たちは大ウケし、女子部員たちは一様に見たくないものを見てしまったかのようななんとも言えない困り顔を見せるや写真を次の人間にすぐに渡していくといった反応だった。そんな“女バーニーケッセル”たちをひとしきり拝んだ後にその写真は筆者の元に回ってきた。
 約30枚の写真の束を上から順にめくっていったところ、最初の方のページは出発直前の集合写真やバンド演奏を写した普通の写真だったが、15ページあたりに肝を抜かれる画像が筆者の目に飛び込んできた。…ここにその詳細を記述することはできないが、これを読んでいる聡明な皆さんのお察しの通りである。“それ”は修正的なものは施されずに如実に記録されていた。しかもその局地的な部分だけがアップになっていた。いわゆる接写というやつだ。『真実を写す』と書いて『写真』であるが、合宿中に起きた乱痴気騒ぎを見事に写していた作品であった。“女バーニーケッセル”が量産されたのも納得がいった。


 この日以来、女子部員が徐々に減っていったのだが、この件とやはり関係があるのだろうか。
 答えは未だ闇の中である。


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2014/06/05(木) | Barney Kessel | トラックバック(0) | コメント(-)

Matador / Grant Green ( マタドール / グラント・グリーン )

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Information
personnelinst.
Grant Greenguitar
McCoy Tynerpiano
Bob Cranshawbass
Elvin Jonesdrums

notitlecomposerlength
1MatadorGrant Green10'52"
2My Favorite ThingsHammerstein II,Rodgers10'24"
3Green JeansGreen9'10"
4BedouinPearson11'41"
5Wives and LoversBacharach, David9'02"

Recorded:1965/5/20


コの1曲

 My Favorite Things


コんな曲調


 ドライブ感溢れるジャズワルツ


ココが聴きどころ


 0’26"~1'26"、8'40"~10'23" 前テーマ 後テーマ

  『My Favorite Things』は、ミュージカル映画『サウンド・オブ・ミュージック』の曲として世界的に有名であり、日本ではJR東海のCM曲としてお馴染みの曲である。
 グラント・グリーンの本曲へのアプローチを見ると、ほぼメロディを崩さず譜面通りに音を奏でているところにかえって驚かされる。モダン・ジャズでは、ほとんどの場合テーマ(前テーマ後テーマとも)は、メロディをフェイクしたりして崩して奏され、それによって演奏者のセンスが反映されるものだが、本曲の場合は元のメロディに忠実に演奏されている。よほど、原曲のメロディを大切にしたかったのだろう。
 しかし不思議なもので、これがグリーンの奏でるギターであることはサウンドから伝わってくる。それは、グルーブ感やギターの音色の中にグリーンの個性が滲み出ているためであろう。


 アドリブソロ全体におけるグリーンの存在感

 本曲全体を包む重厚且つウネるようなバンドサウンドは、マッコイ・タイナー(p)とエルヴィン・ジョーンズ(d)という鉄壁のリズム隊員によって支えられている。そんな“音の圧力”の中にあって、グリーンの存在は決して埋もれることはない。
 力強い音圧に流されることはなく、むしろバンドサウンドを自らの手で前へ前へと引っ張っていっているようにすら聴こえる。その秘密は、地に足ついたリズム感にあるはずだ。
 グリーンの奏でる音は“後乗り”でありながら、最もスピード感が出るタイミングに対してパーフェクトに当たっているのだ。グリーンは、バンドの音圧の中にフルホロウギター独特のアコースティックなニュアンスを表現するほどに強めにピッキングしている。そのため、他ギタリストよりも“ノリ”と“スピード感”が浮き彫りになっている。 それでいて、曲想にぴったりハマる、物悲しい音使いで原曲の雰囲気を発展させている。 
 よく、黒人的でグルーヴィかつブルージーな感覚を“ロイク”などと言ったりするが(勿論音楽的な意味におけるもの)、ことグリーンのソロの世界観においては、リズム感、音使い、ダイナミクス、どれを取ってもロイク・フィーリングのお手本的素材と言える。

 3'41"~4'02"、 4'43"~5'12" シーケンスフレーズ部


 シーケンスフレーズはグラントグリーンの代名詞とも言える。 
 この箇所では、トータル5パターンのシーケンスフレーズが使用されているが、特筆すべきは5パターンどのシーケンスフレーズをとっても、音は2個から4個程度しか使われておらず、ごくシンプルな組み合わせだけでフレーズが成り立っていることだ。技巧的にはたったそれだけで、マッコイ・タイナーやエルヴィン・ジョーンズのいるリズム隊を牽引している。
 そんな芸当ができるのも、推測ではあるが、奏でているフレーズは音使い的には同じであっても、それを奏でている瞬間のグリーンの“気持ち”が毎回異なるコード進行を向いているためではないかと、筆者は考えている。
 この感覚は読者の方々に共有してもらえるか判らないが、グリーンの奏するシーケンスフレーズは1回1回が違って聴こえる。その中で起承転結ができているような気がする。おそらく、共演者もそういったフィーリングが理解できるので、結果、ドラマ性のある音楽が生成されるのではないかと、筆者は考える。


ココが巧い  

 執拗なまでのシングルトーンへの拘り


 10'23"の曲中、すべてにおいてシングルトーンのみで、コードは一度も使っていない。
 周知のごとく、ギターには6本の弦がある。最大で6つの音を同時に鳴らすことが可能な楽器であるにも関わらず、この曲においては、聴いている者に「2つ以上の音を同時に出すことができないギターを使用しているのではないか」と思わせるほどに、テーマ、アドリブソロにおいて一貫してシングルトーンに終始している。
 このレベルまでくるともはや技巧的な巧さではなく、一音一音への、自らの存在を賭した魂を感じさせられる。
 必要最小限の音数だけで音楽を完成させ、それを聴く者の心を長年に渡り熱くさせ続けているグラント・グリーンは、不世出のギタリストと言ってよいだろう。


マイナスワン (テーマ部)
♩ = 200  Key in Em  4 Chor.  4'02"
  (IEにて再生可能)

マイナスワン (アドリブソロ部)
♩ = 200  Key in Em  16-bars × 20 Chor.  4'53"
  (IEにて再生可能)


ココからは余談。。。

 グラント先輩


 筆者の先輩のギター弾きにグラント・グリーンにやたらと詳しい人がいた。
 この人は、グリーンのリーダー作、参加作品はすべて所持しており、当然グリーンに関する知識は深く、ギターのプレースタイルもグリーンによく似ていた。また、性格も熱血漢で、酒の席でジャズやギターの話になると止まることなく何時間でも語り続けるアツい御仁であった。なにより彼のギタープレイはグリーン的ブルースフィーリングに加え技巧的にも秀でていた。彼の実直な人間性も含めて、筆者はその先輩、グラント先輩のことをリスペクトしていた。
 居酒屋『魚民』での飲み会でのことである。
 既に日付が変わり、午前4時過ぎ、周りを見渡すと筆者とグラント先輩以外は酔いつぶれ、二人っきりとなっていた。2人ともかなり酒が回っていたが、こんな会話をしたことを覚えている。

グラント先輩(26):「…お゛ぁー(#゚Д゚) !じゃあ、おまえはどういうギタープレイヤーになりたいんだ?お゛ぁー(#゚Д゚) !」
筆者(20):「ファンクフィーリングをもったプレイヤーになりたいっす…」
グラント先輩(26):「…お゛ぁー!だったら、なんでグラント・グリーンを聴かないんだ(#゚Д゚) ?ファンキーといえばグラント・グリーンハービー・ハンコックだろうが。あとは、ワウ・ワウ・ワトソンレイ・パーカー・ジュニアジョージ・ベンソンなんかも…(以下略)」

 当時の筆者は、グラント・グリーンには大して興味はなかった。だが、この1件をきっかけにグリーンを聴くようになり、CD屋に赴いてはグリーンの作品をちょっとずつ買い集めるようになった。
 そして、本作のようなマスターピースと出会うことができたのだ。
  『音楽との出会い』という言葉はよく耳にするが、その源泉と辿ると『人との出会い』であることがわかる。
 
 ちなみに、グラント先輩は現在は某会社の総務部に勤めているそうだ。
 “ロイク”のようにアツいキャラは、今でも健在であると信じたい。


2014/05/29(木) | Grant Green | トラックバック(0) | コメント(-)

Concierto / Jim Hall (アランフェス協奏曲 / ジム・ホール)

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Information
personnelinst.
Jim Hallguitar
Roland Hannapiano
Ron Carterbass
Steve Gadddrums
Chet Bakertrumpet
Paul Desmondalto sax

notitlecomposerlength
1You’d Be So Nice To Come Home ToCole Porter7'08"
2Two's BluesJim Hall3'52"
3The Answer Is YesJane Hall7'41"
4Concierto De AranjuezJoaquin Rodrigo19'23"

Recorded:1975/4


コの1曲

 You’d Be So Nice To Come Home To


コんな曲調

 ストレート・アヘッドな歌モノ


ココが聴きどころ


 0'33"~0'45" 前テーマの終わり⇒アドリブソロへの繋ぎ⇒アドリブソロの冒頭

   前テーマからアドリブソロへ変遷していくこの部分では、“モチーフの発展”が色濃く出ており、非常にお洒落なサウンドとなっている。
 “モチーフの発展”とは、ひとつの単純なモチーフ(メロディのアイディア)を元に、次のフレーズを即興で作り上げ、その繰り返しで自然に音を繋いでいく手法で、この部分は前テーマ終わりで音が大きく上下するような音使いがあるが、そのアイディアをそのまま延長させアドリブソロへ侵入し、さらにそのモチーフをアドリブ冒頭で4小節分続行しているのが判る。
 聴き手からするとどこまでがテーマでどこからがアドリブなのかという境界線を感じることすらないくらい自然に音を連ねている。
 ジム・ホールが真のインプロバイザーである証拠がこの十数秒間で確認できる。


 5'46"~6'21" ベースソロ終了から後テーマの間の1コーラス

 誰のソロなのか不透明な空間である。ただ、事前に段取りをはっきりと決めない、いわゆるジャムセッションの場では往々にしてよくこういった“間”はできてしまうものだ。
 ここではジム・ホールとベースのロン・カーターの即興の掛け合いが延々と続いており、そのまま1コーラス完了させ、何事もなかったかのように後テーマへ戻ってきている。この辺りの、ある意味の無計画さはジャムセッションの雰囲気そのままであるが、注目すべきは、ベースのカーターがベースソロ終わり際に提示した3拍分のモチーフをジム・ホールがリプライズ(模倣)し、それを再びカーターがリプライズするという音のキャッチボールを見事に演じきっている点であろう。
 コード進行はもとより、そもそも何分の何拍の曲だったのかすら忘れさせるほど自然な形でインタープレイ(コールアンドレスポンス)を続け、寸分の狂いもなくテーマに戻る姿はブラボーのひとことである。
 セッションの場でこういうことをやってのけると、テーマに戻った瞬間に大きな拍手をもらうことができるので、見習っておきたい。


ココが巧い  

 アドリブソロにおける完成された“モチーフの発展”技法

 ジム・ホールのアドリブソロは、周知のごとくモチーフの発展で形造られている。
 例えば、3拍でできている簡単なフレーズを4分の4拍子の中に連続して組み入れ、ポリリズムのようなトリッキーな雰囲気を感じさせる瞬間があるが、こういったアプローチはモチーフの発展のひとつである。
 プロフェッショナルのジャズマンとはいえ、最初から最後までその場で思いついた音のみで即興演奏をし続けることは難しく、通常はストックフレーズという手法に代表されるように譜面等を用い予めフレーズを造っておき、それを活用するものだが、ジム・ホールのようにこうまで完成度の高いモチーフの発展を見せられると、ソロすべてにおいて、ストックフレーズを使用しない、純粋な即興演奏のみでソロが完結していると信じたくなってくる。
 この曲では、ジム・ホールの2コーラス目のアドリブソロ開始部分で反復フレーズが使用され、バンド全体が盛り上がっている場面があるが、これは、そこに至るまでに積上げていったごく自然な音の流れが為し得た結果であると言える。言い換えれば、“反復フレーズを使用して盛り上げた”のではなく、“音楽が盛り上がっていったので反復フレーズで呼応した”ということだ。
 こういった瞬間はソロイストのジム・ホールも、自分自身が音楽の一部となったことが実感できさぞ気持ち良かったことであろう。


マイナスワン
♩ = 222  Key in B♭  10 Chor.  5'51"
  (IEにて再生可能)


ココからは余談。。。

 飲みホー ジムホー

 かつて、新宿歌舞伎町のコマ劇場付近に『信玄屋形』という居酒屋があった。この店の売りはなんといっても安さと収容人数で、大学生なんぞの学生の飲み会でよく利用されていた店だった。
 筆者がモダン・ジャズ研究会のバンマスを務めていた頃、この店で打上げを開催する機会があった。筆者は組織の長という立場ではあったが、参加者の中には先輩も存在した。その先輩の中に芋焼酎を好む人がいたので、メニューの中に芋焼酎が含まれているかどうかをコースの予約を取る際に店員に聞いてみることにした。


若き日の筆者:「一番安いコースはおいくらですか?」
店員:「お料理付きですと、2時間で2,500円です。」
筆者:「ジムホー飲み放題ですよね。」
店員:「…飲みホーですね。」
筆者:「飲みホーに芋焼酎はありますか?」
店員:「…ございます。」


 若さゆえの過ちである。
 ジム・ホールや信玄屋形の店員に迷惑をかけてしまったことを改めて反省したい。
 なにしろ、“モチーフの発展”でフォローしてくれた店員には頭が下がるばかりだ。



 永遠にジムホ

Jim Hall
本名:James Stanley Hall
1930年12月4日 - 2013年12月10日
享年83歳


 あなたの奏でるダキスト製アーチトップ・ギターの優しいサウンドは、永遠に、みんなの心に届き続けるだろう。
 現代ジャズ・ギター界の巨匠の冥福を祈る。

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2014/05/27(火) | Jim Hall | トラックバック(0) | コメント(-)

After Hours / Charlie Christian ,Dizzy Gillespie (アフター・アワーズ/チャーリー・クリスチャン,ディジー・ガレスピー)

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Information
personnelinst.
Charlie Christianguitar
Dizzy Gillespietrumpet
Joe Guytrumpet
Hot Lips Pagetrumpet
Rudy Williamsalto sax
Kermit Scotttenor sax
Don Byastenor sax
Thelonious Monkpiano
Al Tinneypiano
Edmund Paulbass
Nick Fentonbass
Tom Millerdrums
Kenny Clarkedrums

notitlecomposerlength
1Swing to BopCharlie Christian8'51"
2Stompin' at the SavoyGoodman, Razaf, Sampson, Webb8'12"
3Up on Teddy's HillChristian6'07"
4Down on Teddy's HillChristian3'03"
5Guy's Got to GoChristian2'24"
6Lips FlipsChristian4'54"
7StardustCarmichael, Parish6'13"
8KerouacChristian, Newman7'29"
9StardustCarmichael, Parish3'22"

Recorded:1941/5/12


コの1曲

 Stompin’ at the Savoy
  Personnel:
   Charlie Christian (g)
   Joe Guy (tp)
   Thelonious Monk (p)
   Nick Fenton (b)
   Kenny Clarke (d)


コんな曲調

 スインギーな歌モノ


ココが聴きどころ

 “オリジナル”としての説得力

  いにしえのジャズ・ギタリスト、チャーリー・クリスチャン。
 ビッグバンド全盛の当時、ギターソロを研究するにあたってクリスチャンが参考材料にしたのはサックスやトランペットによるソロ演奏だったはずだ。それは、クリスチャンのソロの中のそこかしこから伺い知ることができる。ソロ演奏をギターというデバイスを用いて、表現し認められたジャズギターの先駆者がクリスチャンその人であると筆者は考える。
 Stompin’ at the Savoyのような歌モノをギターでこんな風に演奏したのはクリスチャンが最初ということになる。その意味で、本音源には誰にも批判することができない説得力がある。
 電気の力により音量の問題を解消し、本作のようなマスターピースは生まれた。よってクリスチャンのギターのことは、リスペクトを込めて“電気ギター”と呼びたい。

 2'27"~4'12" 5'55"~7'38"  管楽器と同等の立ち位置で真っ向勝負

 本曲におけるチャーリー・クリスチャンのソロの部分である。
 当時のコンボジャズでは、バッキングが厚みを出してソロイストを煽ってくるようなプレイはほとんどなく、ソロ演奏の時間はソロイストの“個の能力”が純粋に音楽に反映される。この箇所では、クリスチャンのギターの“味”を存分に楽しむことができる。
 音量を少し上げて聴けばよりよく判るが、録音マイクはギターの残響(音を出し終わった後にその音が室内に響くようなサウンド)まで拾っており、一音一音を“弾き切っている”ことが伺える。電気という魔法を得て、ギターのサウンドの“デシベル”をトランペットやサックスといった管楽器たちと同等の位置まで持っていくことができた。
 これらのソロ部分では、和音を鳴らす場面は7回ある(いずれも装飾音的に織り交ぜている程度)が、それ以外はすべて単音で構成されており、管楽器たちと真っ向勝負をしている姿が見える。


ココが巧い  

 中低音の音域だけで聴かせる 

 クリスチャンが使用しているギターはノンカッタウェイ(12フレット以上の高音を抑えるのが困難な、クラシカルなタイプ)で、ソロ演奏は中低音域のみで構成されている。クリスチャンのソロが“大人向け”のムードを醸しているのもこの辺が理由のひとつであろう。
 高音が使用し辛いという縛りがあるため、起承転結を形作るには相当のフレーズのボキャブラリーや発想力がなければならないのだが、本作では見事に多彩なフレーズを展開させ、ソロを完結させている。

 間違った音が一つもない

 クリスチャンは間違った音を一度も出していない。音程についてもそうだが、リズムについてもノーミスであると言える。余りにも自然にやってのけているため気付きにくい事実であるが、クリスチャンの演奏は減点する箇所がほとんどない。


  外連味なく、完璧

 現代におけるジャズでは、意図的に間違った音やズレた音を出したりするような表現はよく見かけるが、クリスチャンにおいては奇を衒ったようなことは一切せず、一貫して正攻法でパフォーマンスを完遂している。こういった教科書的なところが、後に多数のフォローワーを生み出すことになった要因であろう。


マイナスワン
♩ = 220  Key in D♭  10 Chor.  5'54"
  (IEにて再生可能)


ココからは余談。。。

 ジャズの素(ジャズのもと)

 大学生という生き物には、『酒乱』のイメージがあるが、筆者がモダン・ジャズ研究会に居た頃もご多分に漏れず、しょっちゅう居酒屋に出向いては騒いでいたものである。「どうすれば楽器が上手くなるか」という議論になったとき、ベース弾きの先輩がビールの入ったグラスを片手で持ち、もう片方の手でそれを指さしてこんなことを言った。


ベースの先輩Y:「ジャズの素。」


更に彼はこう続けた。


ベースの先輩Y:「一杯飲めばバップフレーズが一個増える(`・ω・´) b」


 若き日の筆者は愚直にもその言葉を信じ、ストックフレーズを増やすべくその日以来“ジャズの素”を積極的に摂取するようになった。
 今にして思えば、暴挙である。そう簡単に上達するほど楽器というものは簡単ではないのに。むしろ、ジャズの素のせいで身を持ち崩していった先輩や同輩を何人も目の当たりにしたぐらいだった。かくいう筆者も、二日酔いに苛まれる日々を過ごしていたわけだが。

 チャーリー・クリスチャンはドクターに止められてもマリファナの使用をやめなかったそうだ。クリスチャンにとってマリファナがジャズの素だったのかについては、確信はないが、違法行為はよろしくないし、なにごとも“過ぎたるは及ばざるが如し”であろう。


 みなさんもジャズの素の過剰摂取には、ご注意を。

2014/05/25(日) | Charlie Christian | トラックバック(0) | コメント(-)

Virtuoso / Joe Pass ( ヴァーチュオーゾ / ジョー・パス )

XRCD

Information
personnelinst.
Joe Passguitar

notitlecomposerlength
1Night and DayCole Porter3'32"
2Stella by StarlightWashington, Young3'34"
3Here's That Rainy DayBurke, VanH3'34"
4My Old FlameCoslow, Johnston5'15"
5How High the MoonHamilton, Lewis4'59"
6CherokeeRay Noble3'35"
7Sweet LorraineBurwell, Parish4'07"
8Have You Met Miss Jones?Hart, Rodgers4'41"
9'Round MidnightHanighen, Monk, Williams3'36"
10All the Things You AreHammerstein II, Kern3'58"
11Blues for AlicanJoe Pass5'26"
12The Song Is YouHammerstein II, Kern4'34"

Recorded:1973/8/28

コの1曲

 How High the Moon


コんな曲調

 スインギーな歌モノ


ココが聴きどころ

 高音質版 

  本CD作品には、XRCDの高音質版が存在する。
筆者が所持しているもはこのバージョンで、非常に音質がよく、自分の部屋にジョーパスが居るような錯覚を覚えるほどである。若干割高で且つ現在は品薄のようだが、ジャズギターを志す者としては所持していて損はないだろう。


  1'17"~1'26" アドリブソロへの導入部分 

  これから始まる長い旅路のプロローグにあたる部分である。
  低音と、半音ずつ下がる和音で構成されるこの導入部はギターによるイントロダクションとしては非常にシンプルで判り易く、ギターイントロのお手本と言ってもよい。 よってここで取り上げることにした。
 この曲の場合は、ジョーパスが奏でたイントロは自身へのソロ開始の合図となっており、軽やかにソロに入っている。
 ジャズギターを学習するに当たってソロギター作品は概して参考にし辛いが、こういったところは勉強材料になる。

  1'26"~3'07" ソロ1コラース~3コーラス

  ジョー・パスほど、無伴奏ソロギターで“曲のドラマ性”を感じさせられるギタリストはいないといっても過言ではない。
元の曲を知っていなくとも、理屈抜きにして凄さが伝わってくるところが“達人芸”と言える。ソロの1~3コーラス目には特にそれが圧縮されていると筆者は考える。
  1コーラス目のテーマメロディを崩したような音使いから、自然発生的にかつバップ感とスピード感を維持しながら次々にフレーズを展開する姿は、まさにコード進行に対してリアルタイムに条件反射し続ける“パブロフの犬”と言ってよい。

  ソロギターの場合、ルバート(演奏者が自由なテンポで演奏する)とインテンポ(一定のテンポに従って演奏)を交互に織り込んで演奏するのが普通だが、この曲では、導入部でひとたびインテンポになると、これ以降は曲の終わりまで同じテンポを貫き通している。特筆に値すべきパフォーマンスであろう。

↓に用意したマイナスワンを聞いて曲の雰囲気を掴んだ後にジョーパスのソロギターを聴いてみると凄さがよく判ると思うので是非実践していただきたい。


ココが巧い 

 Gのキーをやらせたら水を得た魚

  ギターの場合4弦の開放弦がDである関係上、本曲のようにキーがGの場合はDの開放弦が有効に使用できる(キーであるGから見てDは5度に当たり、イントロや曲の終わりで使用することにより、『曲の開始』の感じや『ソロの終わり』感を醸すことができる)。上記でも触れたが、ソロ導入部で用いており、和音との組み合わせで立体感のあるイントロを作り上げている。ジャズギター学習者としても是非コピーしておきたいテクである。
  本アルバムにおいて、インテンポで弾き切る曲は他にもあるが、速さで言えば本曲が最高であり(Cherokeeも速いがルバートを交ぜている)、テクニック的にも最高峰の部類に入るので取り上げることにした。ジョーパスは、どうやらキーがGの場合、水を得た魚のように最大限の力が発揮できるようである。
  バーチュオーゾシリーズは全4作品あり、本作のように途中からインテンポになり、曲の最後までそのまま突き進む曲が他にも1曲ある。Virtuoso#4に収録されているI'll Remember Aprilという曲なのだが、この曲もキーはGとなっている。Dの開放弦が多用できるせいかどうかは確信はないが、本曲よりもさらに速いテンポで弾き切っているのだ。(I'll Remember Aprilについては、別途紹介する予定。)


マイナスワン
♩ = 236  Key in G  6 Chor.  3'20"
  (IEにて再生可能)


ココからは余談。。。

  「3人ぐらいで」

 またしても、モダン・ジャズ研究会に入部して間もない頃の話となってしまうのだが、「最近買ったCDは?」という話になったとき、同輩のギター弾きがこんなことを口走った。

ギターの同輩X:「ジョー・パスのCD、買いました。『ヴァーチュオーゾ』ってやつで、
           ギターが3人ぐらいで合奏しているやつです(`・ω・´;) b」

3人とはw
気持ちは分からないでもないが、ジョー・パスはこの世に3人はいないし、クローンが製造されたなんていう情報も聞いたことがない。先進国のアメリカと言えどもそこまではしないだろう。
なにしろ、知らない人にそこまで思い込ませてしまうのも、ジョー・パスという“達人”の為せる業と言えよう。

2014/05/19(月) | Joe Pass | トラックバック(0) | コメント(-)

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